防災×帽祭 海ちゃん

「62歳、初ランウェイ。
人生は、まだまだ弾けられる!

海の近くで育ち、
新潟・佐渡という“フェリーで渡る大きな島”から人生を歩んできた「海(うみ)さん」。
現在は美容業界で働き、スタッフ育成に携わる62歳。
モデル経験ゼロの彼が、オーディションを経て
**防災×帽祭(ぼうさい)**をテーマにしたショーのランウェイに立った。

「受かると思ってなかった」
「正直、本当?って感じでした」

そう語る海さんが、
ショーを通して感じた“自分の枠が外れる体験”とは——。

――:今回のショーは、オーディションで参加されたんですか?
そうです。
いりさんのX(旧Twitter)の投稿を前から見ていて、「何か面白そうなことやってるな」って思っていました。
今回の募集が出た時に、「あ、オーディションあるんだ」と思って応募したのが始まりです。

――もともとモデルのご経験は?
全くないです。初めてでした。

――防災と帽祭(ぼうさい)というテーマを聞いた時、イメージは湧きましたか?
正直、ぱっとは浮かばなかったです。
最初は「?」という感じでしたね。

――関わっていく中で、理解が深まっていった感じですか?
そうですね。
ショーに参加する人たちと会ったり、話したりしていく中で、
少しずつ「こういうものなのかな」と形が見えてきました。

――レボリストとしてショーに参加して、伝えられたことはありましたか?
「人間って、弾けることができるんだな」って思いました。

人って、自分の枠組みを持っていたり、
人から見られている枠が自分だと思って生きていると思うんです。
それって生活しやすいから、そのままにしているだけなんですよね。
自分もそうでした。

でも、モデルという全く別の立場に入ったことで、
「弾けるって、こういう感じなんだな」と体感できた。
「人生なんでもできるよ」ってよく言うけど、それが言葉じゃなくなった感じです。

――日常とは全く違う体験だった?
そうですね。
今まではオーディションする側だったり、
モデルを使う側だったので、自分がそこに入ることはなかった。

今回は、全く反対側に自分が入った感じです。
ポンっと立場が変わって、「選ばれる側」になったんですよね。

――62歳での初挑戦、オーディションを受けていかがでしたか?

年齢だけ聞くと、びっくりするじゃないですか?だから受からないだろうなって思いながら応募しました。

だから年齢を書いて、写真も送って、
「どうせ受からないだろう」と思っていたら、合格通知が来て。
メールだったので、「本当?」って。

オーディションもダメだろうと思っていたので、
最終的に合格してしまって、「いいの?」って感じでした。

――実際にショーに出てみて、どうでしたか?
一言で言うと、楽しかったです。

最初は正直、何が何だか分からなかったです。
仙台の会場も分からなかったし、どうしていいか分からなかった。

でも、日々変わる演出や、
みんなとどうやって合わせていくかを経験していく中で、
「モデルじゃなかった自分が、モデルになっていった」感じがありました。

――ショー出演後、気持ちや行動に変化はありましたか?
ありましたね。
終わって帰ってきて、翌日コートを着た時に気づいたんです。

今までは、鏡を見るくらいだったのが、
両手をポケットに入れて、動きのバランスを見ていた。
歩き方も意識するようになって、
風が来ても視線をずらさないようにしていました。

たった2日間なのに、
「魅せる」という感覚が身体に残っていたんです。
違う人になったみたいでした。

――ご自身の体験が外に広がっていく感覚はありましたか?
ありました。
フェイスブックにショーの話を載せたところ、
「別の場所でもお話ししてもらえませんか?」という声をかけていただきました。
「62歳で、初めてモデルとしてランウェイを歩いた」という点に、
特に関心を持ってもらえたみたいです。

――ご自身の体験を語ることや、地域で話す機会が生まれたことについて、今はどう感じていますか?
住んでいる地区の会合でも、
「何を話してもいいよ」と言っていただきました。
きっと、その体験を聞きたいと思ってもらえたんだろうなと感じています。

自分としては、特別なことをした意識はあまりないんです。
でも、やってみたことが誰かの関心になったり、
「話を聞きたい」と言ってもらえる形で返ってくるのは、
すごく前向きな循環だなと思っています。
自分の一歩が、思っていたよりも外に届いている実感があります。

――表現者として立つことについて、どう感じましたか?
以前はホテルで接客をしていたので、
見られる仕事ではあるけど、影にならないといけなかった。

でもモデルは違う。
綺麗にして、見られて、表現する。
モデルって「歩ければいい」と思っていたけど、
この人たちは表現者なんだなって思いました。

――また次回も参加したいですか?
はい。参加したいです。
次はまた違う感覚になると思います。
同じモデルでも、見え方が変わるんじゃないかなって。

――これから挑戦するレボリストの方へ、メッセージをお願いします。

自分でやってみて、「できるじゃん」と感じることが大事です。
どうしても「こういう私」という枠を作ってしまいがちで、
生活環境や時間の制約、家族のことなどで、自分に枷をかけてしまうことがあります。

でも、その枷は自分で外せば、何でもできるんです。
最初から「できない理由」を作ってしまうけど、取ろうと思えば取れるし、やろうと思えば何でもできる。

やらないと、死んじゃうよ!時間がもったいないですよ!
生きている時間は同じ。やるかやらないかだったら、やった方が絶対にいい。
うまくいけば良いし、ダメでも立て直せばいいだけ。
何の問題もありません。

自分で一歩踏み出すことで、想像以上の景色が待っていることを、伝えたいです。

取材の感想

人はいつからでも、立場を変えられる。 選ぶ側から、選ばれる側へ。 裏方から、表現者へ。 そしてレボリストという場は、 プロがこれまで培ってきた力を思いきり発揮できる場所であると同時に、 未経験の人が「やってみたい」を形にできる場所でもある。 海さんのような存在が増えていったなら、 きっと、もっと弾けられる人は増えていく。 「自分には無理」と思っていた人が、 一歩踏み出すだけで、まったく違う景色に出会える。 周りの人を巻き込みながら、 モデルという枠を越えて、 もっと多くの人がこの場に立っていい。 そう思わせてくれる説得力が、海さんの一歩にはあった。 海さんの挑戦は、 「やってみたいけど、無理だと思っている誰か」の背中を、 静かに、でも確実に押している。 人生は、まだまだ弾けられる。 そのことを、62歳の初ランウェイが、はっきりと教えてくれた。

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